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平井 将秀

to-BBB社が2B3-101(脳腫瘍治療薬)の第Ⅰ相臨床試験を完了


脳を対象とした薬剤の供給会社であるto-BBB社が、脳腫瘍患者に対する2B3-101の第Ⅰ相臨床試験を成功させ、臨床的に有効な投与量に達したことを発表しました。同社は現在、早期第Ⅱ相試験に進む段階にあり、ここでは乳癌や小細胞肺がん(small cell lung cancer)またはメラノーマの脳転移を呈する患者だけでなく、原発性および悪性脳腫瘍(再発性グリオーマ[recurrent gliomas])を呈する患者の治療も行う予定です。固形腫瘍(solid tumors)の脳転移に対しては商業的に利用可能な治療法がなく、さらに再発性グリオーマに対しても効果的な治療法がないことから、2B3-101は今現在満たされていない大きな医療ニーズをターゲットにしています。だから当たればでかいっすよ~。投資するならやっぱり医療系のバイオ企業が無難かもしれないですね。

to-BBB社は脳への抗がん剤『doxorubicin(ドキソルビシン)』送達能を高めるために、内部のリード薬を2B3-101にし、自社技術のG-Technology®を応用しています。2B3-101を用いたこの試験は、オランダ、ベルギー、フランスの8つの専門クリニックとの緊密な連携により実施されています。to-BBB社は今のところ、脳転移患者の治療に特化した米国の臨床試験施設の追加を計画しています。同社は7月に治験許可申請(IND application)をFDAに提出しました。今はその結果待ちです。同申請が成功すれば、2B3-101の開発で米国の医療センターの協力を得られる可能性があります。

 乳がんの脳転移は、血液脳関門を越えて同疾患を制御するための全身療法がほとんど存在しないことから、患者と臨床医にとっての大きな課題となっています。進行乳がん患者に対するliposomal doxorubicin(商品名:ドキシル)の使用では良い結果が得られていますが、脳転移に対するその有効性は血液脳関門の通過が今一つであることから制限されています。そのため、今回の治験許可申請をFDAが認可すれば大きな前進となるでしょう。

 現在実施中の臨床試験で2B3-101が標的とする脳腫瘍は、米国で少なくとも60,000人が患っており、欧州でも多くの罹患者がいます。2013年6月にはFDAとNBTS(National Brain Tumor Society;全国脳腫瘍学会)が、同疾患の新治療法の承認を加速させ、さらにその量を増やすために『Clinical Trials Endpoint Initiative』を共同発表しました。

to-BBB社について

to-BBB社は臨床病期を対象としたバイオテクノロジー企業であり、血液脳関門を越える薬物送達能の向上に焦点を当てています。同社は脳腫瘍や神経炎症疾患などの重篤な脳障害を対象に、既存の薬剤とG-Technology®( to-BBB社独自の脳への送達技術基盤)を融合させて新しい治療法を開発しています。この技術では内因性のトリペプチド「グルタチオン」(endogenous tripeptide glutathione)を新規かつ安全な方法で標的リガンドとし、ペグ化リポソーム(pegylated liposomes)の一般的な送達方法を用います。大学や医薬品会社など複数のパートナーと連携してto-BBB社は、全身的に耐性のある用量では脳に到達しない薬剤を対象に、G-Technology®の多用途性を調査しています。


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